Volt Boot:電源ドメインの分離を利用したオンチップSRAMセキュリティの回避
本論文では、最新のSoC(System-on-a-Chip)における電源ドメインの分離を利用して、オンチップSRAMに保存された機密情報のセキュリティを侵害する新しい攻撃手法であるVolt Bootを紹介します。従来のコールドブート攻撃はオンチップSRAMに対して効果がありませんが、Volt Bootはシステムのリセット中にターゲットメモリ領域の電圧を維持することで、電源サイクルを跨いでのSRAMデータ保持を実現します。市販されている3種類のCortex-Aプロセッサを用いた実験により、キャッシュ、CPUレジスタ、iRAMからデータを正常に抽出することができ、攻撃の有効性が示されました。本研究は、オンチップ計算に依存するシステムが直面する新たなセキュリティ課題を浮き彫りにし、電源ドメインの分離の排除、残存メモリの消去、起動時のSRAMリセット、TrustZoneサポートの強制適用などの対策を提案しています。
続きを読む