ポンペイウスの劇場:権力の象徴とローマ娯楽の夜明け
2025-03-10
紀元前55年、ポンペイウス大王はローマ初の恒久的な劇場を落成させました。これは、ローマの繁栄する娯楽文化の始まりを告げる豪華な光景でした。1万5千人を収容できる巨大な建物は、単なる建物ではなく、ポンペイウスの軍事功績と政治的才能の証でした。盛大な開場式には、剣闘士の戦い、精巧な演劇(ポンペイウス自身の勝利を巧みに反映したクレュタイムネストラの豪華な演出を含む)、そして莫大な富の展示が含まれていました。一見寛大な行為に見えますが、ポンペイウスの劇場は強力な政治的支配手段であり、「パンとサーカス」の典型的な例でした。その重要性はポンペイウスの死後も続き、紀元前44年にはカエサルの暗殺現場となりました。