ジャック・ウェルチ:資本主義を破壊した男?
2025-07-02

デビッド・ゲレスの新著『資本主義を破壊した男』は、GE在職中のジャック・ウェルチのアメリカ経済への深い影響を検証している。ウェルチによる株主価値最大化への執拗な追求、すなわちレイオフ、アウトソーシング、海外生産、買収、自社株買いといった手法は、アメリカ企業の新たな行動規範となった。ゲレスは、この株主中心の資本主義が前例のない社会経済的不平等を生み出し、それを採用した多くの企業に損害を与えたと主張する。本書では、ウェルチの経営手法とボーイング737MAXの危機、そして増加する所得格差との関連性も指摘されている。そして、企業利益の分配の再均衡、労働者の福祉の優先、より公平な経済システムの構築を求める結論で締めくくられる。