メモリバウンドコードに対するコンパイラ最適化の影響:-O3が常に最適とは限らない

2025-06-01
メモリバウンドコードに対するコンパイラ最適化の影響:-O3が常に最適とは限らない

ジョニーズ・ソフトウェア・ラボの研究によると、メモリバウンドコードにおけるコンパイラ最適化(GCCの-O3など)の効果は必ずしも劇的ではないことが示されました。彼らは、命令レベル並列処理(ILP)が高いカーネルと低いカーネルの2種類をテストしました。その結果、ILPの高いカーネルでは-O3最適化により3倍の高速化が得られましたが、ILPの低いカーネルでは、メモリアクセスがボトルネックになったため、最適化の効果はわずかでした。これは、メモリバウンド性の高いシナリオでは、命令数が少なくなっても、ILPの低さによってパフォーマンスの向上が制限され、コードの特性に合わせて最適化戦略を調整する必要があることを示しています。